第42回情報科学若手の会 開催報告

  1. はじめに

    2009 年9 月19 日から9 月21 日にかけて, 川崎グランドホテル(神奈川県川崎市川崎区) で第42 回情報科 学若手の会を開催いたしました. 全国より招待講演者を含む24 名が参加し, 様々なジャンルの発表を行い活発 な議論を行われました.

  2. 発表および議論

    以下のような発表枠を用意し, 議論を行いました. 2 件ずつの発表を1 セッションとし, 各発表は質疑応答を 含め1 時間強で行いました.

    1. 9 月 19 日

      Genkidama: P2P コンテンツキャッシュ共有システム 浅田拓也(株式会社ライブドア)

      キーバリューストアと共に注目されている技術, DHT(Distributed Hash Table) を活用し, ニコニコ動画の動画キャッシュを共有するアプリケーション「Genkidama」について発表していただきました. また, 本発表だけでなくデモセッションにおいてもご発表いただき, 「Genkidama」のデモを行っていただきました.

      型レベルプログラミングとScala 水島宏太(筑波大学大学院)

      プログラミング言語の静的型システムを利用し, メタプログラミングを行う技法である型レベルプログラミングを, プログラミング言語Scala でどのように行うかについて, 事例を含めた発表をしていただきました.

    2. 9 月 20 日

      グラフ書換え系によるメタプログラミング環境 東達軌(東京理科大学大学院)

      現在, 特定の問題の記述, 処理に特化したプログラミング言語であるDSL(Domaim Specific Language) を用いたプログラミングが一般的になってきており, そのDSL を手軽に定義するために発表者が構築中のグラフ書換え系による汎用的なメタプログラミング環境について発表していただきました.

      電子投票プロトコルとその問題点について 満永拓邦(京都大学大学院)

      電子投票のメリット・デメリットについてお話いただいた上で, プライバシー保護や投票後に他者に自分が投票した相手を知られないようにするためのセキュリティ対策を施したプロトコルをご紹介いただきました.更に, 電子投票における今後の課題などについても発表していただきました.

      招待講演

      本年度の招待公演は京都大学学術情報メディアセンターの上原哲太郎准教授にお願いしました. 上原先生には「セキュリティ研究と社会の関わり」という題で, 「永遠の初心者問題」や「個人トレーサビリティ問題」といった情報社会におけるセキュリティの問題について, これまでご自身が実際に自治体等で行われてきた社会 活動の事例と併せてご講演いただきました.

      oneclip - Twitter でソーシャルブックマーク 大澤昇平(筑波大学)

      従来のメディアより早く, 多くの人に情報をリーチすることが可能なTwitter の特性を生かしたソーシャルブックマークサービス「oneclip」について紹介していただきました. 今回, 若手の会では, 発表中の議論を従来のIRC チャット等の代わりに, Twitter で行うという試みも行っており, この試みに合わせた発表となりました.

      研究と開発と運用と企画と利益 佐藤敏紀

      ベンチャー企業の研究寄りの部署における研究と開発の運用の関係性や企画力, 自身の興味を利益と結びつける方法など, 発表者自身の経験を踏まえ発表していただきました. 飛び込みセッションで小町さんがご発表いただいた「インターンのすすめ」と併せて, 学生参加者にとって関心の高い話題であり, 若手の会ならではの有意義な内容となりました.

  3. その他

    その他, 夜のセッション以外にも以下に述べるデモセッション, 飛び込みセッションを行いました.

    デモセッション

    例年通り日頃の研究や趣味などで開発しているソフトウェアのデモを披露するセッションを設けました.

    ライブドアの浅田さんによる「Genkidama」, 東京大学の杉田さんによるファイルシステム「dabi2fs」, 東京理科大学の蛭間さんによるWii リモコンを用いた「Mario Fountain」のデモを行っていただきました.

    飛び込みセッション

    例年どおり, 飛び込みで発表したい人を募り飛び込みセッションを行いました.

    浜地さん, 奈良先端大学院大学の小町さん, ライブドアの浅田さん, ACCESS の池内さん, 徳島大学の中川さんによる5 件の飛び込みでの発表がありました. また, 招待講演者の上原先生も2 日目の午前のセッションにおいて, 飛び入りでファイルシステムに関するご発表をしていただきました.

  4. おわりに

    参加者全員がいろいろなトピックに触れることができるとともに, 異分野の研究者ならではの同分野と異なる視点での議論や新たな可能性についての討論など研究者の視野・研究者同士のつながりを広げることができ, 有意義な会合となりました.

    来年度も同時期に情報科学若手の会を開催する予定です. 多くの方のご参加をお待ちしております. 開催日,開催場所は現在検討中ですが, 以下のウェブページで随時情報を更新していきます.

    情報科学若手の会 http://wakate.prosym.jp/

  5. 謝辞

    招待講演を行って下さいました京都大学の上原哲太郎准教授, 多額のご援助を頂きました財団法人慶応工学 会様, この若手の会開催にあたりご支援いただきました東京農工大学の並木先生をはじめとするプログラミン グシンポジウム幹事の皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます.