第39回情報科学若手の会
はじめに
2006 年 9 月 16 日から 9 月 18 日にかけて第 39 回情報科学若手の会を開催いたしました. 会場は富士 CALM (山梨県富士吉田市) で行いました. 全国より 26 名(招待講演者を除く)が参加し, いろいろなジャン ルの発表を行い活発な議論を行いました.
発表および議論
以下のような発表枠を用意し,議論を行いました.各発表は質疑応答を含め 1 時間強で行いました.
9 月 16 日
プログラムを Wiki のように書けるか? 長慎也 (一橋大学)
Web で動く,Ajax プログラミング環境 「Aroe」について, それを用いる際問題となる Web での共同開発 について発表していただきました. 不特定多数のユーザで開発を行うことによる問題, CVS・SVN などの既存 のバージョン管理システムではなく Wiki のようなシステムで行うことで起きる問題, などについて議論が盛 り上がりました.
物理法則の宣言による可視化エンジンの実装 西尾泰和 (東京大学)
現在作成中の宣言によってレイアウトの方法を記述できるグラフの可視化ソフトウェア「GRINEdit」につ いてそのベータ版の機能とこれからの方向について発表していただきました. 音声認識や mindmap などさま ざまなアプリケーションにおいてそのグラフ構造を可視化する際に起こる問題, GRINEdit の UI や使用方法, などについて議論を行いました.
9 月 17 日
計算再利用を用いたプロセッサ高速化技術の可能性 池内康樹 (豊橋技術科学大学)
ハードウェアに計算再利用の技術を用いた際のその可能性とそれに付随して起こる問題点について発表して いただきました. コンパイラや二次キャッシュなどではなくプロセッサで行うことの面白さ, 再利用を行う単 位や行うことのできる条件, 再利用が有効な問題, などについて議論を行いました.
Computation In Mathematics 堀江啓一 (東京大学)
計算機の高速化・計算機科学の進歩に伴い, 純粋数学の分野において計算機を使おうという動きが活発に なっており, それによってこれまで見られなかったもの・手で書いていたものをコンピュータグラフィックを 用いて可視化することができるようになりました. そのような中で結び目理論について可視化と現在問題と なっている困難な問題について発表していただきました. 多くの参加者が結び目理論について知らなかったた め, 大変興味深い発表になりました.
招待講演
本年度の招待公演は筑波大学の前田敦司先生にお願いしました. 前田先生には「コンピュータ科学者のため の経済学」という題でご講演いただき, 経済学の考え方とそれに基づいた現在のマスコミや政府発表の正しい 読み方, またそのような考え方に基づいたコンピュータの資源管理について話していただきました.
異種機関と異種システムと異種データと (仮称) 村崎大輔 (東京大学)
様々な機関で運用している様々なシステムから得られる情報のフォーマットを統一するためのプラット フォームについて発表していただきました. データを提供してもらう際の問題, フォーマットを統一する・変 換する際の問題や他の変換プラットフォームとの差異, などについて議論を行いました.
Server Side JavaScript の実装 - AJAJA - 竹迫良範 (サイボウズ・ラボ株式会社)
AJAJA プロジェクトにおいてサーバサイドの Web プログラミング言語/処理系として JavaScript/ASP が実装しており, pmconnect や XPCOM により既存のライブラリを用いることも可能になっています. この ようなサーバサイドでの JavaScript の利用について発表していただきました. JavaScript を用いたクライア ント・サーバ両サイドでの開発が可能となることによる利点・欠点について議論を行いました.
その他
その他,夜のセッション(宴会)以外にも以下に述べ るデモセッション,飛び込みセッションを行いました.
デモセッション
今年も昨年に続き日ごろ研究や趣味などで開発しているソフトウェアのデモを披露するセッションを設けま した. 東京工業大学の松田さんによるBlofiling (Blog+Profiling) と Privacy,筑 波 大 学 の 水 島 さ ん に よ る Brainf*ck や Whitespace などの変態言語,大日向さんによる FIFOL で作る Brainf*ck インタプリタ, サイボウズ・ラボの竹迫さんによる Plagger とそのプラグインにまつわる著作権の問題, の 4 件についてデモ を行いました.
飛び込みセッション
例年どおり,飛び込みで発表したい人を募り飛び込みセッションを行いました.
奈良先端科学技術大学院大学の松浦さんによる環境情報を共有するプロジェクト Live E!, 東京大学大学院の西尾さんによるプログラミング言語 KEMURI, 東北大学電気通信研究所の上野さんによるプログラミング言語 Grass, 東京大学大学院の鷲田さんによるタスク管理に関する研究, について飛び込みで発表を行いました.
おわりに
参加者全員がいろいろなトピックに触れることができるとともに,異分野の研究者ならではの同分野と異なる視点での議論や新たな可能性についての討論など研究者の視野・研究者同士のつながりを広げることができ, 有意義な会合になったと思います.
来年度も同時期に情報科学若手の会を開催する予定です.多くの方のご参加をお待ちしております.開催 日,開催場所は現在検討中ですが,以下のウェブページで随時情報を更新していきます.
情報科学若手の会 http://wakate.aitea.net/
謝辞
招待講演を行ってくださいました筑波大学の前田敦司先生,多額のご援助を頂きました財団法人慶応工学会様,この若手の会開催にあたり色々と面倒を見てくださいました電気通信大学の多田先生をはじめとするプログラミングシンポジウム幹事の皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます.
参加者一覧(順不同、敬称略)
- 前田敦司 筑波大学大学院システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 招待講演者
- 鴨志田良和 東京大学大学院情報理工学系研究科およびサイボウズラボ株式会社
- 笹田耕一 東京大学大学院 情報理工学系研究科 幹事
- 三好健文 東京工業大学総合理工学研究科物理情報システム専攻
- 三神京子
- 三輪誠 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 幹事
- 小町守 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
- 松浦知史 奈良先端科学技術大学院大学 幹事
- 松田耕史 東京工業大学大学院 総合理工学研究科 幹事
- 上坂明未 フェリス女学院大学情報センター 幹事
- 上野雄大 東北大学電気通信研究所
- 水島宏太 筑波大学 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻
- 西尾泰和 東京大学大学院 発表者
- 村崎大輔 東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 (竹内郁雄研究室) 発表者
- 大日向大地
- 池内康樹 豊橋技術科学大学 並列処理研究室 発表者
- 竹内聖悟 東京大学大学院総合文化研究科
- 竹迫良範 サイボウズ・ラボ株式会社 発表者
- 長慎也 一橋大学 発表者
- 東達軌 東京理科大学大学院 理工学研究科 情報科学専攻 山崎研究室
- 徳永拓之 東京大学情報理工学系研究科
- 繁富利恵 産業技術総合研究所 情報セキュリティ研究センター
- 疋田敏朗 トヨタ IT 開発センター USA
- 堀江啓一 東京大学大学院 数理科学研究科 数理科学専攻 発表者
- 本橋正成
- 鈴木宏哉 慶應義塾大学大学院 理工学研究科 幹事
- 鷲田基 東京大学情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻五十嵐研究室








